
全日本児童音楽協会(AJACCS)
All-Japan Association of The Creation of Children's Songs.
一般社団法人 日本音楽作家団体協議会(FCA)会員。
協会創立60周年記念コンサート inかながわ

全日本児童音楽協会は未来を担う子どもたちの心の引き出しに「たのしい・うれしい・感動する」新しい音楽を提供することを目的として童謡「うみ」等の代表作で知られる作曲家井上武士先生により旗揚げされました。作詞家・作曲家から組織される当協会は会員相互が協力し、多くの作品を世に送り出して参りました。その歴史は大変古く、子どもに向けた楽曲の創作団体としては最古の歴史を誇ります。
さて、本来ならば協会創立60周年を迎える今年、記念コンサートを各地で大々的に開催する予定で計画をしてきました。しかしながら、新型コロナウイルス蔓延に伴い、公演を断念せざるを得なくなりました。
このたび大変ありがたいことに神奈川県の文化芸術活動再開加速化事業補助金を受け、
「協会創立60周年記念コンサートinかながわ」を以下の要網で無観客・収録公演を計画し、後日配信することとなりました。公演に際しては国や地方自治体等の感染症予防マニュアルを参考にしながら、感染症拡大防止に努め開催いたします。
神奈川県の文化芸術活動再開加速化事業公演
収録日:2020年12月6日午後
場 所:パラッツォヴィオラ大船
出 演:下司愉宇起(歌・総合司会・構成)・塚本一実(お話・指揮)・草野七海(歌)・関奈美(歌)・田崎美香(歌)・阿部葵(ピアノ)・平野裕樹子(ピアノ)・あかみみうたう!!DAN(児童合唱)
※感染症拡大防止のため一般のお客様の入場はできません。ご了承ください。
プログラム
第一部〜歴代会長の作品を集めて
♪うみ・虫の声・チューリップ(井上武士)
♪かみなりごろちゃん(桑原哲郎)
♪サッカーボーイ(桑原研郎)
♪スイカの名産地・メリーさんの羊・十人のインディアン(高田三九三)
♪かあさんすきよ(佐伯直)
♪50周年の歌(北澤秀夫)
♪虹色の気球に乗って(塚本一実)
第二部〜歌と朗読
♪ぼくが鳥になったら(作詞:西多賀ベットスクール児童・作曲松村禎三)
第三部〜神奈川在住会員の作品を集めて
♪お口がいちばんとくみたい(藤元薫子)
♪なみはけしごむ(宝積侑子)
♪かぜにのりたい(ほうづみひでのり)
♪ゆずの木・波はゆっくり深呼吸(上田ますみ)
♪落ち葉のかけっこ(宮嶋固建)


全日本児童音楽協会 会長 よりメッセージ
新たな異世界へ向かって

新型コロナウイルスの世界的感染拡大が猛威を振るっています。2020 年 1 月 16 日に「新 型コロナウイルスを日本で初めて確認」と厚生労働省が発表してから、4ヶ月が経ちまし た。新型コロナウイルスは、約半月ごとに遺伝子変異し、2020 年 5 月 16 日現在で 17 種類 が確認されています(日本経済新聞)。変異している同ウイルスの感染自体を防ぐことは非 常に困難な事象と推察します。今後、我々の生活や考え方も新たなものになっていく可能性 があります。同ウイルスの変異を認め、我々人間が極端な進化をしなければならい状況下に あるのかもしれません。
私は作曲家であり、音を使って美を表現する「音楽」という世界において“新しい”とは何 かという問いかけを、作品を通して行っています。新しくあろうとすることは、挑戦であり、 実験であり、またある面では、危険であり、失敗をも伴います。曲を創るときの作曲家、そ してそれを音に具現化して音楽を表現するときの演奏家は「ワクワク」しています。このワ クワク感は、創っている音楽のエネルギーの根幹を成します。たとえその音楽が失敗に終わ ったとしても音楽の世界では「その後に消えてしまう」と言う悲しい報いに留まり、それが 命に関わることはないでしょう。存在していたものが「無」になることほど悲しいことはあ りませんが。
このように“新しい”を研究している私が、現在の新型コロナウイルス禍との共存を考える 時に「ワクワク」をなしにした“新しい”はあり得ません。同ウイルスが猛威を振るう以前と 今、そしてこれからの未来を考えると、同ウイルスによって、不本意ながらも変わらなけれ ばならい事項や事象があったとしても、それは、以前より劣っている、不幸である、と言う ことと同意ではないと期待します。新しいと言うことは、過去に無いことであり、それは進 化していく現象であり、希望を伴う現象です。物事の価値観が変わる事とも言えます。
音楽の世界で言うと、調性音楽が主流であったヨーロッパの音楽が現代の音楽では無調音 楽に発展しました。無調音楽を調性音楽と思いながら聴いたら「 訳 が 分 からない」と言う事 になります。 食 事に 例 えると“おは ぎ ” だ と 信じ て“未体験 ハンバ ー グ ”を 食べ た時の 気持 ちと 似 ているでしょう。
未 知 の世界への「ワクワク感」は「希望」であり、非常に大 切 です。新しいことは過去に はないので、 例 えば、10 人 中 9 人が「この物体は 白 」と言っている 中 「この物体は 赤 」と 発言する行 為 と 似 ています。とても 勇気 のいる行 為 です。「この物体は 赤 」と 答 える タ イ ミ ング が後へくればくるほど 勇気 が 必要 になります。
新型コロナウイルスの感染拡大の猛威があり、 5G の 導入 が今後 見込 まれ、我々の生活も 様 変わりしていくでしょう。これは、た だ単 に「変わる」と言った同 次元 での「変化」では 無く、進化と言う「異 次元 による世界」「新たな観 点 が生ん だ 異世界」と 想像 できるのでは 無いでしょうか。この「異世界」に 突入 するには、 果敢 な 勇気 と希望に 満 ちた思考が 必要 で す。この 勇気 と希望を根 底 に 置 き、 直 面した事項に 立 ち向かう 姿勢 が大 切だ と考えます。音
楽を創る時、 最 後の 最 後までどのようにしようかと 迷 い 混迷 に 至 り、 最 後の 一歩 で、前に 踏 み出 します。この 一歩 は、 偶然 であったり、 必然 であったり 様 々です。そして、 一つ の新た な異世界が創られるのです。
パ ンドラ の 箱 の 最 後の 一つ は「希望」です。それまでの「禍」を 全 て 吹 き 飛 ばすのは希望 です。 教育 は 学 生に自 己 の希望を 語 る行 為だ と私は思っています。
東 日本大 震災 時に「音楽を奏に」「 応援 をしに」現 地 へ行った音楽家が、「今はそれどころ では無い ! 今はそんな 気持 ちになれない ! 」と現 地 の人の 怒 りを生んでしまったと言う 話 も聞いています。現在では「 YouTube 」や「 TikTok 」などの楽しい サ イ ト が 様 々な 形態 を 介 して音楽とともに 嬉 しさを 与 えてくれています。人間が 3 00 年 近 くも共存を 許 してきた 「ク ラシ ック音楽」、その 中 で 抗 う「現代音楽」、それとは 違 う 抗 い方の「 ポピュラ ー音楽」、 そして、「 ド イ ツ の音楽」「イ タリア の音楽」「 フラン スの音楽」「 アメリカ の音楽」「日本の 音楽」「 ⺠族 音楽」など 多様 な音楽が私たちの 興味 をかき 立 てます。人間が ⻑ い間共存して きた「音楽」は“新しい”とは無 縁 ではありません。新しい作品がなくなると「進化 ・ 発展」 では無く「伝 承 」となります。そしてそれは、世界が終わる事を意 味 します。
音楽と共生してきた我々の 社会 が終 焉 を 迎 えるとは考えられません。 第二次 世界大戦を 彷 彿 とさせる禍「新型コロナウイルスとの戦い」、どう ぞ皆様 と共に 乗 り 越 えて行こうではあ りませんか。禍を 機 に 転じ る ! 「 最 後のお 別 れの時に 会 うことが 許 されない」と言うような 非人 道 的な 社会 が 続 いてはなりません。
私が音楽から 学 ん だ ことを 基 に現在の 心境 を 書 かせていた だ きました。音楽は 心 の ビタミ ン! 創作は挑戦 ! 実験 !勇気! 希望 ! です。 皆様 と新しい 社会 を作りたく考えています。
最 後になりましたが、新型コロナウイルス禍によって命を 奪 われた方のご 冥福 を 心 からお 祈 りいたします。 医療従 事 者 の方々へ 心 から感 謝 を 申 し 上げ ます。
2020 年 5 月 25 日 塚 本 一 実